宿泊業の平日予約を増やすには?サウナ付古民家宿運営者が考える打ち手

第八番地

土日は埋まるのに、平日は空いている。

宿泊業を運営していると、土日・祝日はそれなりに予約が入るのに、平日になると一気に空室が増えるという壁にぶつかります。

なぜ平日が埋まらないのか。

それは、多くの人にとって旅行は「休日にするもの」だからです。学校や会社のスケジュールに合わせて休日に集中して予約が入り、平日は自然と空いてしまう。これは個人宿特有の問題ではなく、宿泊業全体が抱える構造的な課題です。

結論から言うと、平日予約を増やすための「魔法の一手」はありません。
ただ、「ターゲットを変える」「体験価値を変える」「予約のハードルを下げる」という3つの方向性から、複数の施策を組み合わせて検証していくしかない、というのが現時点での私の考えです。

正直に書きますが、私自身は平日稼働を増やせていません。
これから一つずつ試していきたいという思いで、整理して記事にすることにしました。

この記事では、同じ悩みを抱える運営者の方に向けて、「何を・なぜ・どの順番で試すか」という考え方を整理してお伝えします。すでに成果が出た成功談ではなく、これから検証していく思考のプロセスとして読んでいただければと思います。

この記事でわかること

・平日予約が伸びない理由
・平日に宿を利用してもらえる可能性があるターゲット層
・古民家・サウナという特性を生かした平日施策のアイデア
・インバウンド需要が平日対策になり得る理由と注意点
・値下げに頼らずに平日の価値を作る考え方

なぜ宿は平日予約が伸びにくいのか

まず全体像を整理していこうと思います。

一般的な宿泊施設と比較すると、私の運営するサウナ付古民家宿には平日集客において特有の不利な点がいくつかあるのではないかと思いました。

ビジネス需要を取り込みにくい

都市型ホテルであれば、出張や研修のビジネス利用者が平日需要の柱になります。
しかしサウナ付古民家宿は地方に位置しており、駅やオフィス街から離れているため、出張需要を取り込むのは現実的に難しいです。

1棟貸し・少人数定員という構造

古民家を1棟貸しで運営している場合、少人数だと割高になります。

また、団体旅行やバスツアーのような「まとめて埋める」施策が使いにくい構造になっています。

観光地ではない

有名な温泉地や観光地のように「平日でも観光客が一定数訪れるエリア」に立地しているわけではありません。

周辺に観光名所や定番の立ち寄りスポットが少ない場合、平日に「ついでに寄る」「近くまで来たから泊まる」といった動機での予約が発生しにくくなります。

平日に宿を利用する可能性があるターゲットは誰か

平日の集客を考えるとき、週末と同じ顧客層に同じ訴求をしても効果は薄いのではないか。狙うべき層を変える必要があるのではないか。

ターゲット層 想定される動機 古民家サウナとの相性
リモートワーカー・フリーランス 静かな環境で集中して作業したい 古民家の落ち着いた空間と相性が良い
シニア層・リタイア後の世代 平日に休みを取れる、混雑を避けたい サウナでの静かな時間と合う
近隣在住者・日帰り利用層 移動の手間を減らしたい、気軽に非日常を味わいたい 短時間サウナ体験プランが作れる
写真・動画撮影目的の利用者 古民家という建築自体に価値がある 撮影プランとして単価を上げやすい
平日休みの職種(医療・サービス業など) シフト制で平日が休みになりやすい 週末と同じ訴求がそのまま使える可能性

このうち、既存のターゲット層以外に、「古民家×サウナ」という特性を一番活かせるのは「リモートワーカー」と「シニア層」だと思いました。

一般的なビジネスホテルが狙う出張需要とは違う層であり、古民家ならではの強みを訴求しやすいと思います。

ただ、現状は若者向けのグループ利用が大半で、刺さっている状態なので、シニア層は真逆のターゲット層。どう両立していくか難しいところです。

インバウンドについて

このほか、平日の空室対策として見過ごせないのが訪日外国人観光客(インバウンド)です。海外からの旅行者は日本の祝日や学校の休みに縛られないため、平日であっても旅行需要が落ちにくいという特性があります。曜日による予約の偏りを和らげる存在として、古民家サウナの宿にとっては相性の良いターゲットだと考えています。

インバウンド需要は平日対策になり得るか

古民家という建築そのものは、もともと訪日外国人観光客から注目されやすいジャンルです。畳・縁側・囲炉裏といった日本の伝統的な暮らしを体感できる滞在スタイルは、都市部のホテルでは味わえない体験として評価されています。

ここにサウナという要素が加わることで、訴求の幅はさらに広がると考えています。
サウナは北欧をはじめ世界的に親しまれている文化であり、「日本の古民家」と「サウナ」という二つの要素が組み合わさることは、海外の旅行者にとって珍しく、かつ理解しやすい価値として伝わりやすいはずではないかと思います。

平日対策という観点で見たとき、インバウンドには次のような利点があります。

・日本の祝日・学校の長期休暇に左右されないため、平日でも需要が見込める
・滞在期間が長くなる傾向があり、連泊につながりやすい
・「日本らしい体験」を重視する層が多く、古民家という建築自体が訴求材料になる

一方で、注意すべき点もあります。多言語対応(予約サイトの説明文、館内表示など)が整っていないと、せっかくの興味が予約に結びつかない可能性があります。

私の事例で考えると、最寄りの空港は鳥取空港や但馬空港になりますが、どちらも国際線はありません。

また、観光地として有名な鳥取砂丘までも車で約50分かかるため、「有名観光地の近く」という立地条件ではありません。

そのため、単純に観光地へのアクセスだけで選ばれるのは難しいと考えています。

重要なのは、「なぜこの場所まで来る価値があるのか」を作ることです。

地方の宿泊施設は、立地の良さだけで勝負するのではなく、「わざわざ行きたい理由」を作れるかが重要だと感じています。

値下げに頼らない、平日の価値づくりという考え方

平日が埋まらないとき、最も手軽な対処法は「平日料金を下げる」ことですよね。

しかし、これには注意が必要だと考えています。

単純な値下げだけだと、サウナ付古民家宿という「非日常の特別感」が薄れてしまい、ブランド価値を下げるリスクがあります。
これは一般的な宿泊業の記事でも指摘されている通りで、価格を下げるのではなく、平日にしかない価値を設計することが本質的なアプローチだと考えています。

じゃあ、どうすればいいか。具体的には、以下のような方向性が考えられます。

平日限定の体験を付加する

平日だからこそ体験できる要素を加える方向です。例えば、貸切時間を延長する、薪割りや火起こしといった古民家ならではの体験を平日限定で組み込む、などが考えられます。

連泊・長期滞在向けプランを作る

リモートワーカーや撮影目的の利用者は、1泊だけでなく連泊する可能性があります。2泊目以降を割引する、Wi-Fi環境や作業スペースを整備する、といった施策は古民家でも実行しやすい打ち手です。

平日専用ページやプラン名を作る

「平日プラン」「ワーケーション古民家サウナ」など、検索されやすいキーワードをプラン名に含めることで、平日利用を探している人の検索に引っかかりやすくする工夫も考えられます。

平日と週末で基本人数を分ける

私の宿は基本人数が4名。5名以降は追加料金という設定です。

稀に2名でご利用いただくことがありますが、この場合少し割高になってしまいます。

週末は稼働率が高いので、平日は気軽に予約できるよう基本人数を2名または3名にすることも検討しています。

OTA上で料金プランを分けて実践してみたいと思います。

サウナ付古民家宿だからこそできる平日施策のアイデア

ここからは、サウナ付古民家宿という特性を踏まえて、私が今後試していきたいと考えている施策のアイデアを整理していこうとおもいます。

アイデア1:インバウンド向けプラン

鳥取砂丘まで50分という距離ですが、やはり一大観光地なのでインバウンド向けに砂丘へ行く観光客を取り込めるほうがいいと思いました。

他にも、日本海や温泉といった外国人が好みそうなものをプラン名に盛り込んでみようかと思います。

アイデア2:シニア向けプランの打ち出し

既存のターゲットが若者を中心としていますが、シニア向けに刺さるプランを考える。
今後、施設の横にカフェを併設予定なので、食事付きプランなどを用意し新たなターゲット層を狙いに行くというもの。

アイデア3:地域の宿泊施設同士での平日連携

近隣の同業者(他の古民家宿やゲストハウスなど)と連携し、平日限定の周遊プランやセット販売を行う方向性です。たとえば、サブスクプランをやってみるとか。香美町の宿に定額で泊まり放題など・・・。

アイデア4:リモートワーク向けの長期滞在プラン

観光目的ではなく「滞在先」としての需要を取り込む方向性です。

香美町は移住者も多いので、事前に滞在してその土地や人柄を知りたいといった人に向けた滞在プランを作ってみようかと思います。

よくある失敗

平日施策を考える上で、陥りやすい失敗を整理します。

失敗1:値下げだけで対応してしまう

平日料金を下げるだけの対応は、一時的に予約は増えても、施設の価値そのものを下げてしまうリスクがあります。「なぜ平日に来てほしいのか」「誰に来てほしいのか」を考えずに価格だけ動かすと、リピーターにつながりにくい予約ばかりが増えてしまう可能性があります。

失敗2:ターゲットを絞らずに全方位に訴求する

「平日も予約受付中です」という曖昧な訴求だけでは、誰にも刺さりません。リモートワーカー向け、シニア層向けなど、ターゲットごとに訴求文言やプラン内容を変える必要があります。

まとめ

宿泊業における平日予約の課題は、多くの運営者が共通して抱える悩みです。
今回整理したように、値下げに頼るのではなく、ターゲットを絞り、平日にしかない価値を設計するという方向性が重要だと考えています。
日本人観光客に向けた施策に加えて、曜日に縛られにくいインバウンド需要をどう取り込むかも、平日対策の一つの軸になり得ます。

私自身、これらの施策はまだまだ実行段階に入っていないものも多くあります。

まずは自施設の平日空室率を数値で把握し、近隣のターゲット層を整理した上で、優先順位の高い施策から一つずつ試していく予定です。

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