はじめに
先日、2件目の宿運営をしたく実際に物件を見てきました。
結果的にその物件は諦めてしまったのですが、そのときにどういう目線で物件を選んで、現地ではなにを見てきたのか、なぜやめたのか、など自分への記録も兼ねて記載していきたいと思います。
1. 物件の概要と周辺環境

まず、今回見てきた物件の概要はこちら
・立地:岡山県玉野市宇野
・周辺環境:宇野駅、宇野港から車で10分圏内
・海まで歩いて5分
・近隣観光:直島、おもちゃ王国、倉敷、瀬戸大橋など
・木造2階建
・築60年
・物件価格約500万円→450万円(値下げ交渉の結果)
物件はハトマークサイトにて見つけた物件で、管理会社へ直接問い合わせをして、内覧させていただきました。
今回は、貸し切り宿で、業務委託をして、私は基本現地対応しないという想定で運営したいと思っていました。
2. この物件で強みをどう作ろうと考えたか
今回の物件では、強みとして考えたのが「立地」「ガレージの活用」「部屋数」でした。
まず「立地」ですが、宇野駅や宇野港からアクセスが可能という立地のため、直島へ行く観光客をターゲットにできるのではないかと考えました。主にインバウンド向けやファミリーでの利用をメインに考えていました。
また、海まで徒歩5分という立地もかなり好印象でした。

次に「ガレージの活用」ですが、この物件には1階に車を1台止められるほどのガレージがあります。私は駐車場として使うのではなく、屋内BBQスペースのように使えるスペースにできるのではないかと思っていました。

ちなみにAIにイメージしてもらった画像がこちらです。

いま運営している宿でもBBQできるようにしているのですが、雨の日は利用ができないためガレージスペースをそのように活用できないかと考えていました。
ただし、消防への相談はしていないのであくまで妄想段階での構想です。おそらく室内なので感知器をつける必要があるかもしれないので、憩いスペースになるかなとも考えていました。
次に「部屋数」ですが、2階は7畳と11畳の部屋があります。寝室としては十分な広さを確保でき、6名~8名くらいまで収容できるのではと思います。

奥の押し入れを壊して、仕切りを取り外して、部屋を拡充できるなと思いました。
ファミリーやグループ利用にして単価を上げることが可能だと思いました。
3. 実際に運用したらどれくらい費用がかかるか(運用シミュレーション)
開業後の運営コスト(固定費・変動費)を想定します。
固定費として、固定資産税、保険、清掃委託費、駐車場代、光熱費など。
固定資産税は不明、保険は月数千円程度、駐車場代が2台借りて1万円前後(近隣に駐車スペースがありそこを借りる想定でした)、清掃委託とリネン交換とかけつけ代行は各社見積もりが必要ではありますが、清掃も1回5000円~1万円、かけつけ代行は調べたのですがよくわからずでした。
4. 改修工事の見積もりはいくらだったか

これは改修イメージをしたAI画像です。こうした感じで、改修費用の見積もりもお願いしました。

自分ではできない部分として、玄関ドア交換工事やガレージシャッターの取替、電気工事、外壁塗装、ユニットバス、水道工事などなど。
合計約500万円でした。
最も費用がかかる工事がガレージの内窓サッシ工事でした。
今回、強みとなるガレージは外から丸見えの窓でしたし、外からの寒気が感じやすかったので交換をお願いすることにしました。これがおよそ100万円。
次にユニットバスの交換。
こうした設備交換は約50万円。

そのほかにも、産業廃棄物処理などの費用や足場工事、道路申請許可など想定しにくいものなど、諸費用が必要になってきます。
DIYで対応する範囲は、壁や床などの内装をできると考えました。2階の和室を洋室化し、奥の2部屋をつなげて1つの寝室にできるなと思いました。

キッチンも改修済みでキレイでした。

天井にシミがあったので、おそらく雨漏りしている可能性もありました。
雨漏りがあるかどうかは天井を開けてみないとわからないため、今回の見積もりでは、パスしました。もし雨漏りの場合はかなり高額になった可能性があります。
5. 予算はどう考えたか

物件費用について、最終大家さんから50万円値引きをしてもらうことができました。
初期費用として、物件取得費用450万円+改修工事500万円=950万円(※手数料などは省いています。)
もちろん、見積もりの後から自分でできるとこ、やっぱりやめておきたいところなどで削減はできたかもしれません。
さらに、消防設備を取り付ける必要があるので50万円~100万円は追加コストがかかります。(今回は消防への事前相談は行っていません。)
これらの初期費用に合わせて、運営する際に必要な委託などの費用をトータルすると月々の返済は数万円ほどかかる見込みとなります。
仮に、1泊4万円とした場合、毎週土曜が埋まる想定で毎月16万円。
そこから、ローン返済が仮に7万円、駐車場代1万円、清掃委託1回5000円×4回=2万円、通信料4000円、リネン交換4回と駆け付け代行費用(ここは調査不足ですが仮に1万円として)、光熱水費2万円、保険、固定資産税・・・
あらあら、売り上げから残る金額があるのかしら・・・という感じになりますね。
これは売上が4泊で単価4万円にした最低限のラインで計算したものです。
もちろん4泊以上埋める必要はありますし、単価を上げれればもっと余裕が生まれるかもしれません。ただ、こうした最低限の想定は絶対に必要で、閑散期にもっと入らないケースもあり得るので、私の考える運営だと少し厳しいということがわかります。
6. 保健所に確認したこと・言われたこと

今回、図面を手に入れましたので、保健所へ連絡をして相談してきました。
指摘された事項について抜粋したいと思います。
・都市計画法により旅館業ができない地域があるので、都市計画課に確認が必要
・こちらは部屋ごとに宿泊させることを想定しておりますか(2組以上が泊まる)。
浴室利用時はDK奥のトイレ、洗面、浴室のスペースが締め切りになるかと思います(脱衣スペースになる?)。そうすると、便所と洗面所の基準の”宿泊者等が利用しやすい位置に設け・・・”を満たさなくなります。
一棟貸し(1組のみ)でしたら、特に問題ありません。
・設備・特記の欄に”追炊機能”とありますが、給湯口を塞ぐ措置をしていただく可能性があります。(原水及び原湯は、水面より上の位置から注入される構造とすること)
・その他、申請時には消防法令に適合している必要もございます。
私がはじめて知ったのですが、原水及び原湯は、水面より上の位置から注入される構造とすること。ということについては初見でした。
こうした情報を知らずにお風呂をそのままにしていると営業できないことになるので、実際に保健所から事前にアドバイスをもらうことがいかに大事かよくわかりました。
もちろん、こうした内容については図面を見て気になった点を教えていただいたもので、最終確認は現地確認が必要になります。可能な範囲で回答していただきました。
※こうした内容は自治体・地域によって判断が異なるので、ご自身で必ずご確認ください。
7.周辺宿の状況
Airbnbなどで周辺の宿で、同じような貸し切り宿の運営状況を確認しました。
この地域にはいくつか貸し切り宿もあり、競合があるということは宿需要があるということでもあります。
貸切料金は3万円~4万円が相場で、追加料金がひとり6000円といった感じでした。
週末は埋まっていて、場合によっては平日も入っているところもあり、一人旅向けや女性専用、古民家宿、サウナ付きなどいろいろ差別化を図っていました。
実際に泊まろうかとも考えていたのですが、日程上日帰りとなってしまいましたが、物件探しをする場合はこうした宿に宿泊して話を聞けると尚良しと思います。
まとめ:この物件を見て分かったこと
今回、私がこの物件で運営を辞退した理由は2つ。
・運営コストと収益バランスがよくなかったこと
・遠隔地のため緊急時にかけつけできないこと
物件の状態や立地などは申し分なかっただけに、予算が低すぎて何もできず残念ではあります。
他にも、いろいろ気付きがありました。
・立地選定は間違っていなかったかも。
・なにかあったときに自分が動けるほうがいいということ。
・駐車場代などの固定費をいかに削減できるかが大事だということ。
・強みをもっと練っておくべきだということ。
・その土地の人、宿の運営者にもっと話を聞くべきだった。
今になって思いますが、これらは事前にある程度わかっていたことではあります。ただ、実際に見て、見積もりをもらって、保健所に聞くことで、なにが必要でどれくらい費用がかかるのかよくわかった気がします。不動産会社の担当の方や改修工事の担当者の方も非常に親切に対応していただき、申し訳ない気持ちになりました。
とりあえず、2件目探しはいったん保留にして、その予算で、いまある自分の宿の改善をしていきたいと思いました。
