サウナ付き貸切古民家宿は儲かるの?実際に運営してわかったこと

第八番地

地方移住を考えている方の中には、「せっかく移住するなら、古民家を活用して宿泊業もやってみたい」と考える方が増えています。

その中でも「サウナ付きの宿泊施設」は、最近メディアでも取り上げられることが多く、「これは儲かりそうだ」と感じる方も多いのではないでしょうか。

でも一方で、「本当に採算が取れるのか」「初期費用がかかりすぎるのでは」という不安もあるはずです。

結論からお伝えします。
サウナ付きの宿泊施設は、条件が揃えば十分に収益が出るビジネスです。ただし「誰でも儲かる」わけではなく、立地・客単価・稼働率・初期費用の抑え方が揃って初めて成立します。

私は現在、地方でサウナ付き古民家の貸切宿を実際に運営しています。この記事では、実際の運営経験をもとに、儲かる条件と儲からないケースの両方を正直にお伝えします。

この記事でわかること

・サウナ付き貸切古民家宿の収益構造(収入・費用の目安)
・儲かる物件・立地の条件
・初期費用と回収までの期間の目安
・よくある失敗パターン
・開業までの主な手順

サウナ付き貸切古民家宿の収益構造

収入の仕組み

貸切宿の収入は基本的に「1棟あたりの宿泊料金 × 稼働日数」です。

サウナ付きの貸切古民家宿の場合、相場感として以下のような価格帯が設定されていることが多いです。

  • 平日:1棟3〜6万円前後
  • 休前日・週末:1棟5〜10万円前後
  • 繁忙期(GW・お盆・年末年始):さらに上乗せ

※価格帯は立地・設備・ブランディングによって大きく変わります。地域や物件によって異なるため、あくまで参考値としてください。

仮に平均単価5万円・月15泊の稼働ができれば、月の売上は75万円になります。

ただし、この売上がそのまま利益になるわけではありません。

主なランニングコスト

項目 月あたりの目安
水道・光熱費(薪・電気・ガスなど) 3〜8万円
清掃費(外注の場合) 2〜5万円
消耗品費(タオル・備品補充など) 1〜2万円
プラットフォーム手数料(OTA等) 売上の10〜15%前後
設備修繕積立 1〜3万円
その他(保険等) 1〜2万円

サウナ付き宿の場合、サウナ室の熱源を何にするかによって、初期費用や運営コストは大きく変わります。

私が運営しているサウナでは、薪ストーブを採用しています。

理由の一つは、キャンプ場整備で発生した間伐材を薪として活用できる環境があったためです。
間伐材を薪として利用することで、キャンプ場サウナの運営を組み合わせた形にしています。

また、薪ストーブのサウナは、電気ストーブとは違った熱の入り方が特徴です。

個人的には、熱の当たりが柔らかく感じられ、長時間入りやすい点もメリットだと感じています。
一方で、薪ストーブには薪の準備や管理という手間があります。薪を購入する場合、1束500円〜1,000円程度が目安で、針葉樹・広葉樹など樹種によって価格は変わります。
電気ストーブと比較すると燃料コストだけを見ると割高になる場合もありますが、薪を自前で確保できる環境であれば、設備や運営方針によっては選択肢になります。

儲かる条件とは

客単価を高く設定できる立地・設備

貸切宿の収益性は「1泊あたりの単価」に大きく依存します。

単価を上げるには、以下の要素が重要だと考えられます。

・都市圏から2〜3時間以内(日帰りより宿泊したくなる距離感)
・眺望・川・山など「ここにしかない体験」がある
・サウナ+外気浴スペース+水風呂が揃っている
・古民家の雰囲気が写真映えする

「サウナがあれば売れる」時代はすでに終わりつつあります。プラスαの体験があるかどうかが差別化になっているのではないかと思います。

貸切宿で食事提供を行わない場合、料理や地域食材を使ったサービスで差別化することは難しくなります。

そのため、食事を提供しないことを前提に、宿泊者自身が楽しめる環境づくりが重要だと考えています。

私が運営している宿では、BBQセットを無料で貸し出したり、鍋や調理器具、食器類を揃えたりすることで、宿泊者が自分たちで料理を作りながら過ごせる形にしています。

特にグループ利用の場合、「みんなで買い出しをして、料理を作って、同じ空間で楽しむ」という時間自体が宿泊体験の一部になります。

また、料理提供を行わないことで、食材の仕入れや調理にかかるコスト、人員確保の負担を抑えることができます。

その分、設備や空間づくりに力を入れることで、食事提供型の宿とは違った価値を作ることができます。

初期費用を適切に抑えられる

古民家の取得・改修費用は、物件によって大きく異なります。

費用項目 目安
古民家購入費(地方の場合) 100万〜1,000万円以上(幅が大きい)
改修費(DIY活用の場合) 200万〜500万円
サウナ設置費 50万〜200万円(テントサウナ〜本格設置まで)
家電・家具・備品 50万〜150万円
許認可・申請関連 10万〜30万円(専門家依頼時)

初期費用の総額は物件次第ですが、DIYをどこまで活用できるかが回収期間に大きく影響します。

私の場合は、古民家とサウナがセットになった状態で購入することができました。

もともと古民家宿とサウナを運営していた方から事業を引き継ぐ形で、購入費用は400万円でした。

すでに宿として運営されていたため、家具や家電などの設備が整っており、ゼロから開業する場合と比べて初期投資を大きく抑えることができました。

また、過去の運営実績や利用者の存在があったことも大きなメリットでした。

新しく宿を始める場合、建物の準備だけでなく、認知を広げて予約につなげるまでに時間がかかります。既存施設を引き継ぐことで、設備面だけでなく、開業後の集客面でも有利なスタートを切ることができました。

稼働率30〜40%以上を維持できる

損益分岐点は、「月の固定費 ÷ 1泊あたりの粗利」で決まります。

たとえば、月の固定費が15万円で粗利が4万円の場合

損益分岐点は月の固定費15万円 ÷ 4万円 ≒ 4泊となります。

これは借入額、維持費、人件費などによって変わるため、開業前に自分の施設の固定費から逆算することが重要です。

また、稼働率を上げるためには、以下が重要だと考えています。

・OTA(Airbnb・Reluxなど)への適切な掲載
・写真・紹介文の質(特に写真は最重要)
・リピーター・口コミの獲得
・SNS(InstagramなどのビジュアルSNS)の活用

ただし、これらは現在の宿泊業ではやっていて当然の基本施策でもあります。

掲載を整えたから予約が入る、写真を良くしたから必ず稼働率が上がる、という単純なものではありません。

実際には、価格設定、ターゲット層、競合施設の状況、季節要因、天候、連休やカレンダーの並びなど、さまざまな要素が予約に影響します。

価格を下げたから予約が入るとは限らず、価格を上げても予約が入る場合もあります。

そのため、実際の運営では、試行錯誤の繰り返しで、改善を繰り返していくことになります。

集客は一度仕組みを作れば終わりではなく、運営しながら調整を続ける部分が大きいと感じています。

ほんとに集客は難しいと感じます。

儲からないケース

よくある失敗その1:初期費用をかけすぎて回収できない

「せっかくやるなら良いものを」と改修に予算をかけすぎると、回収に10年以上かかるケースもあります。

特に、工務店への全依頼・設備のグレードアップ・外構工事などは費用が膨らみやすいポイントです。

「完璧な状態でオープン」を目指すよりも、「まず動かしながら改善する」という考え方が、収益面では合理的です。

よくある失敗その2:稼働率の見込みが甘い

「サウナ付き古民家は人気だから、すぐ埋まるだろう」という前提で事業計画を立てると、思ったより稼働しないことに気づきます。

実際には、掲載から予約が安定するまで3〜6ヶ月かかることも珍しくありません。

初年度は稼働率を低めに見積もった事業計画を立てることが大切です。

よくある失敗その3:清掃・メンテナンスの負担を甘く見る

貸切宿は1泊ごとに清掃が必要です。サウナがあると、清掃箇所が増え、時間もかかります。

清掃を自分でやる場合は、体力的な負担と時間的な拘束が想像以上に大きくなります。外注する場合は、コストが月2〜5万円以上かかります。

どちらにするかを最初に決めて、収支計画に組み込んでおくことが重要です。

サウナ設備の選択肢

タイプ 費用目安 メリット デメリット
テントサウナ 10〜30万円 初期費用が安い 耐久性・見た目に限界がある
プレハブサウナ 50〜150万円 設置が比較的容易 見た目が画一的になりやすい
薪サウナ(小屋型) 100〜300万円 体験価値が高い・写真映え 燃料管理・維持費がかかる
電気サウナ 50〜200万円 管理が楽 光熱費が高くなる場合がある

どのサウナがいいかは一長一短で、「蔵を改装してサウナ」にするようなまったく新しいサウナを作るのも個性があっていいと思います。

むしろ今はありきたりなサウナが増えているなかで、差別化ができるサウナのほうが人気が出るのではないかと思っています。

また、サウナ施設にした場合は、日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」へ登録するのがおすすめです。

いろんなサウナ施設があり、サウナユーザーが多く利用していて、掲載に料金もかかりません。

よくある質問(FAQ)

Q.古民家を賃貸して宿泊業を始めることはできますか? 可能なケースはありますが、大家さんの許可と改修に関する合意が必要です。また、賃料が発生する分、収益構造が変わります。賃貸物件で宿泊業を行う場合の制約は自治体・物件によって異なるため、契約前に確認が必要です。

Q.地方移住と組み合わせる場合、補助金は使えますか? 地域によっては、空き家活用・移住促進・宿泊業開業に関する補助制度が設けられている場合があります。ただし制度は年度ごとに変わることがあり、また自治体によって内容が大きく異なります。移住先の自治体窓口に直接確認することを強く推奨します。

Q.1人でも運営できますか? 立地によっては、清掃・チェックイン対応・設備メンテナンスを1人でこなすことは可能です。ただし稼働率が上がるにつれて体力的・時間的な負担は増します。パートナーとの分担や、清掃の部分外注など、持続可能な体制を最初から設計することをおすすめします。

まとめ

田舎で暮らしていると、古い家や自然環境は日常の一部になり、その価値に気づきにくくなることがあります。
しかし、都市部で暮らす人にとっては、古民家の雰囲気や広い空間、自然の中で過ごす時間そのものが魅力として感じられる場合があります。

地方にある「当たり前のもの」が、外から見ると大きな価値になることがあります。

古民家宿や地域での事業を考える際には、地域の人が当たり前だと思っている資源を、利用する人にとってどんな価値として届けられるかを考えることが重要だと感じています。

 

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